
専業主婦だけど年金を支払う必要があるのかしら…
そのように悩まれる方も多いのではないでしょうか。私自身も結婚して仕事を退職し専業主婦になったため、年金はどうしたらよいのか悩みました。
専業主婦は夫が会社員(公務員)の場合は年金の支払いをする必要がなく、夫が自営業の場合やパートで一定の収入がある場合などは年金の支払いをする必要があります。
専業主婦だからといって全ての人が年金の支払いがないというわけではないのです。
こちらの記事ではまず基本的な年金制度についてご説明します。
そして専業主婦がもらう年金額はどのくらいになるのかを共働きの妻と比較してみました。
最後に年金を増やす方法や年金以外で老後資金を確保する方法についてご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
年金について説明を聞いて「なるほど」とは思っても「で、私はどうなるの?」と思いますよね。
お金について心配している女性が多いですよね。
こちらの本を読んで自分にあった方法を見つけましょう。

専業主婦は年金の支払いがある人とない人がいる

先ほどお伝えしたように、専業主婦といっても年金の支払いが必要な方とそうでない方がいます。
夫の仕事や自分の仕事の状況によって変わってくるのです。
こちらではまず国民の義務である公的年金制度についてご説明します。
さらに年金制度の中でも自分で直接支払う必要がある「国民年金保険」について特に詳しく解説しています。
公的年金制度について知ろう!日本は国民皆年金
公的年金制度とは、年老いたときやいざという時の生活を、働いている世代(現役世代)で支えようという「世代間での支え合い」の考えのもと作られた制度です。
日本の公的年金制度は「国民皆年金」といって、20歳以上~60歳未満の人は原則全員国民年金に加入する義務があります。
そして国民年金の被保険者はそれぞれ、第1号、第2号、第3号被保険者の3つに分けられています。
第1号被保険者 | 自営業者、学生、無職者など | 国民年金保険料を支払う |
第2号被保険者 | 会社員、公務員 | 厚生年金保険料を支払う |
第3号被保険者 | 第2号被保険者に扶養されている配偶者(年収130万円未満) | 保険料の納付はなし |
表から分かるように、国民年金保険料を支払うのは国民年金の第1号被保険者です。
第1号被保険者であれば専業主婦であろうと夫と同じように国民年金保険料を支払う必要があります。
国民年金の第2号被保険者は同時に厚生年金の被保険者となり、厚生年金保険料を支払うことになります。
厚生年金保険料は給与から天引きされて勤務先が支払うため、ご自身で直接支払う必要はありません。
そして第2号被保険者に扶養されている130万円以下の収入の配偶者は第3号被保険者となり、保険料を支払う必要はありません。
第3号被保険者の国民年金保険料は、配偶者が加入している年金制度の財源から支払われることになります。
専業主婦であっても夫の就業形態や自分の収入によって年金の支払いが必要な方もいればそうでない方もいるということが分かりますね。
専業主婦になったら年金の支払いがないと思っている方は注意する必要があります。
第3号被保険者でなくなったときは手続きが必要
専業主婦であっても第3号被保険者でなくなったときは、第1号被保険者になるための手続きをしなければなりません。
どういうときに手続きが必要になるのかをまとめてみました。
- 配偶者が転職して自営業になったとき
- 配偶者が65歳になったとき
- 配偶者が亡くなったとき
- 配偶者と離婚をしたとき
- 自身の収入が一定金額を超えたとき
- 特別な事情がなく日本国外へ転居したとき
このような場合はお住まいの市区町村窓口で第1号被保険者への切り替え手続きが必要になります。
特に配偶者が定年退職をした場合は、夫側は切り替えを行う必要がないため忘れてしまいがちなので注意しておく必要があります。
私も結婚して専業主婦になった当初は夫が会社員だったため第3号被保険者となり、年金の支払いはありませんでした。
しかし夫が自営業に変わったことで夫も私も第1号被保険者となったため、同額の国民年金保険料を支払うことになり、よく知らなかった私はとても驚きました。
皆さんはそのようなことにならないように事前に知っておいてくださいね。
専業主婦の方が就職したことにより勤務先の厚生年金に加入した場合は、ご自身が第2号被保険者となります。
その場合、届け出などの手続きは勤務先が行うため、ご自身で手続きする必要はありません。
日本国外への転居は海外赴任に同行するなどの特別な事情がある場合は、勤務先を通して手続きすることによって引き続き第3号被保険者となることができます。
国民年金保険料がお得になる前納という制度について
令和4年度の国民年金保険料は月額16,590円で、年額199,080円です。
こちらの国民年金保険料をなるべくお得に支払いたいという方には、前納割引制度というものがあります。
現金払い(納付書払い)で国民年金保険料を前納した場合の割引はこちらになります。
1回あたりの納付額 | 割引額 | 2年に換算した割引額 | |
2年前納 | 382,780円 | 14,540円 | – |
1年前納 | 195,550円 | 3,530円 | 7,060円 |
6カ月前納 | 98,730円 | 810円 | 3,240円 |
前納する期間が長いほど割引額が大きくなることが分かりますね。
次に口座振替で国民年金保険料を前納した場合の割引はこちらになります。
1回あたりの納付額 | 割引額 | 2年に換算した割引額 | |
2年前納 | 381,530円 | 15,790円 | – |
1年前納 | 194,910円 | 4,170円 | 8,340円 |
6カ月前納 | 98,410円 | 1,130円 | 4,520円 |
当月末振替(早割) | 16,540円 | 50円 | 1,200円 |
現金払いよりも口座振替の方が割引額が大きいことが分かります。
本来口座振替は翌月末振替で毎月支払うのですが、「早割」といってそれを当月末振替に変更するだけでも割引がありますよ。
一番お得に国民年金保険料を支払うのは2年前納の口座振替です。
もし来年度に2年前納を希望される方は、お近くの年金事務所等で来年2月末までに手続きを済ませるようにしましょう。
詳しくは日本年金機構のホームページで確認してみてください。(引用:国民年金前納割引制度(口座振替 前納)について 日本年金機構ホーム)
支払いが難しい場合は免除や猶予の手続きをしよう
収入の減少や失業等で国民年金保険料の支払いが難しい場合は、保険料の免除、納付猶予という制度を利用しましょう。
保険料の免除
本人、配偶者及び世帯主それぞれの前年所得が一定以下の場合は、申請することによって申請者本人が保険料の免除を受けることができます。
免除には全額免除と4分の3免除、半分免除、4分の1免除の一部免除があります。
免除の申請は過去2年までさかのぼることができますよ。
産前産後は保険料の納付が不要な期間がありますので、この場合も免除の手続きを行いましょう。
納付猶予(学生は学生納付特例)
20歳以上50歳未満の方で、本人や配偶者の前年所得が一定以下の場合は、申請をすることによって保険料の納付が猶予されます。
こちらは免除とは違い、納付を待ってもらう状態ですので追って支払う必要があります。
気をつけなければならないのは免除や猶予の手続きをした場合、その分の保険料を追納しなければ将来年金の受給額が満額ではなくなるということです。
免除も猶予も10年以内であれば後から追納することで、老後に受け取る老齢基礎年金の金額を満額まで上げることができます。
免除や納付猶予の申請を希望する場合は、お住まいの市区町村の国民年金窓口、もしくはお近くの年金事務所で手続きを行いましょう。
マイナンバーカードをお持ちの方はマイナポータルを利用して電子申請をすることもできますよ。
保険料の免除や納付猶予について詳しく知りたい方は日本年金機構のホームページをご確認ください。(引用:保険料の免除、納付猶予制度について 日本年金機構ホーム)
専業主婦は年金をいくらもらえるか受給額を知ろう

専業主婦が実際に年金を受け取るとき、いくらもらえるのかも気になるところですよね。
専業主婦と共働き世帯の妻とでは加入している年金制度が違うため、年金の受給額にも大きな差があります。
こちらでは専業主婦が年金をいくらもらえるかを共働き世帯の妻と比較してご紹介します。
また専業主婦の年金についての疑問を2つのケースに分けて解説しています。
専業主婦と共働きの年金受給額を比較してみよう
国民年金の女性の平均受給月額が約5万4,000円に対して、厚生年金の女性の平均受給月額が約10万4,000円です。
つまり専業主婦と共働きの妻では年金の受給額に2倍近く差があるということが分かります。

そんなに差があるの…!
1か月約5万円は非常に大きな差ですよね。私も初めて知ったときとても驚きました。
専業主婦は国民年金に加入するため、65歳になると老齢基礎年金を受給します。
それに対して共働きの妻は厚生年金に加入するため、老齢基礎年金と合わせて老齢厚生年金も受給することになります。
専業主婦になる前まで勤めていた先で厚生年金に加入していた方は、老齢厚生年金を受給できる場合もあります。
しかし定年まで勤め上げて老後を迎えた共働きの妻に比べると年金受給額が少なくなるケースがほとんどです。
私も専業主婦になるまで数年間働いていたため、年金を受給する際に厚生年金が少し上乗せされる可能性はあります。
そうはいっても年金だけで老後を過ごすのには厳しい金額だと予想されるため、事前にいくらもらえるかを知り、計画的に老後資金を準備する必要性を感じました。
専業主婦の年金に関する様々なケースを紹介
多くの専業主婦が年金を受け取る際に疑問に思う2つのケースはこちらになります。
- 配偶者と離婚をしたとき
- 配偶者が亡くなったとき
それぞれのケースで年金を受け取る際にどのようになるのか見ていきましょう。
<配偶者と離婚をしたとき>
離婚をした場合、婚姻期間中に支払った厚生年金保険料に対する年金を配偶者と分割して受給することができます。(「3号分割制度」)
専業主婦で第3号被保険者だった場合は、婚姻期間中に夫が支払った厚生年金保険料に対する厚生年金の2分の1の額を受け取ることができます。
離婚をした日の翌日から起算して2年以内が請求期限になります。
<配偶者が亡くなったとき>
厚生年金に加入していた配偶者が亡くなった場合、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取ることができます。
子どもがいない場合や子どもが18歳以上の場合は遺族基礎年金を受給することができないため、遺族厚生年金のみの受給になります。
遺族厚生年金の受給額は、夫が受け取る予定だった厚生年金の受給額の4分の3です。
国民年金に加入している場合は、遺族基礎年金のみの受け取りになります。
他にも何か不明な点があった場合は、お近くの年金事務所に問い合わせてみましょう。
自分だけの年金について知りたいですよね。
知っていれば対策もできます。
一般的な年金について勉強した後に、自分だけの年金の勉強を始めてみましょう。

専業主婦が年金を増やすための方法を知ろう

老後の収入が不安だと感じている専業主婦の方も多いのではないでしょうか。
年金受給だけでは足りない老後資金は国の制度を利用したり、資産形成を行ったりすることで事前に準備しておくことが大切です。
こちらでは受け取る年金を増やすための方法と年金以外で老後資金を確保するための方法についてご紹介しています。
専業主婦が受け取る年金を増やすための方法は4つ
専業主婦が受け取る年金を増やすための方法はこちらです。
- 任意加入制度
- 付加年金制度
- 国民年金基金制度
- 年金の繰下げ受給
それぞれどのようなものか一つずつ詳しく見てみましょう。
<任意加入制度>
国民年金は40年間(480月)保険料を支払うことで満額の老齢基礎年金を受給することができます。
任意加入制度とは、60歳までに保険料の納付期間が40年に満たない場合、引き続き国民年金に加入することで受給額を満額まで上げることができる制度です。
以下の条件をすべて満たしている人だけが任意加入制度を利用することができます。
- 日本国内に住所を持つ60歳以上65歳未満の方
- 老齢基礎年金をすでに支給されていない方
- 20歳以上60歳未満までの保険料納付期間が40年(480月)に満たない方
- 厚生年金保険や共済組合等に加入をしていない方
- 医療滞在や観光、保養目的で入国していない外国国籍の方
これらの条件を満たす方以外に年金の受給資格を満たしていない65歳以上70歳未満の方や、外国に居住する20歳以上60歳未満の方も加入することができます。
60歳以上65歳未満の方は、60歳の誕生日の前日から手続きを行うことができますよ。
老齢基礎年金を満額以上に増やすことはできないため注意が必要です。
<付加年金制度>
付加年金制度とは第1号被保険者と任意加入被保険者が毎月の定額保険料に加えて付加保険料を支払うことで受給する年金額を増やすための制度です。
付加保険料は月額400円で、受給できる年金は「200円×付加保険料納付月数」で計算されます。
つまり2年以上年金を受給することで、支払った付加保険料以上の年金を受け取ることができます。
付加保険料も定額保険料と同じく所得控除の対象になりますよ。
ただし国民年金基金に加入している方は付加年金制度に加入することはできません。
<国民年金基金>
専業主婦でも本人や配偶者が第1号被保険者の場合は、国民年金基金制度を利用するという方法もあります。
国民年金基金制度とは厚生年金のない第1号被保険者のために用意された、老齢基礎年金に上乗せするための公的年金制度です。
少ない掛金から始めることができ、ライフプランに合わせて掛金を増減させることも可能です。
掛金は全額所得控除の対象になるため税制上のメリットがあることも分かります。
自営業の方などは検討する価値が大いにありそうですね。
私は夫が自営業で夫婦ともに第1号被保険者なので国民年金と合わせてこちらに加入しています。
将来を考えて備えることで少し心に余裕もできました。
<年金の繰下げ受給>
本来年金は65歳から受給することができるのですが、受給期間を66歳以降75歳までの間で繰り下げることで増額した年金を受給することができます。
老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給する方はそれぞれ別々に繰り下げをすることができます。
繰り下げ期間に応じて毎月年金受給額が増え、増えた受給額は一生変わりません。
これらは全て公的年金の制度として利用することができます。
制度を利用したい方はお近くの年金事務所(国民年金基金については国民年金基金連合会)にお問い合わせください。
専業主婦が年金以外で老後資金を確保する方法は3つ
専業主婦が公的年金以外で老後資金を確保する方法はこちらです。
- iDeCo
- つみたてNISA
- 貯蓄型保険
年金以外にも老後資金を事前に準備できることが分かりますね。一つずつ見てみましょう。
<iDeCo>
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」の略称で、自分で掛金を運用して老後の年金を積み立てていく私的年金制度のことです。
自分自身で掛金と運用方法を選び、最終的に掛金と運用益の合計額を受け取れる仕組みとなっています。
iDeCoのメリットとデメリットについて見てみましょう。
- 掛金は全額所得控除になる
- 運用益が非課税
- 受け取る時も税の優遇制度が適用される
- 運用結果によっては資金を大きく増やすことができる
どれも魅力的なメリットですね。デメリットはこちらです。
- 原則60歳までお金は引き出せない
- 元本割れのリスクもある
- 加入期間によっては60歳から受給できない場合もある
- 掛金には上限額がある
メリットとデメリットを理解した上で、始める必要がありますが「老後資金を確保する」という意味ではとても有効な方法だと言えます。
<つみたてNISA>
つみたてNISAは投資によって得た利益が一定額まで非課税になる制度です。
非課税となる投資額は年間40万(月約33,333円)で、非課税期間は最長20年間です。
所定の金融商品に投資をして掛金を運用していく点と、投資で得た利益が一定額まで非課税である点はiDeCoと共通しています。
その一方でつみたてNISAは運用資金をいつでも引き出すことができるという違いがあります。
しかし、つみたてNISAも長期間投資をすることで資産を成長させられる可能性が高まるため、老後資金を確保するためには引き出さずに置いておくことが大切です。
<貯蓄型保険>
各保険会社の「終身保険」や「個人年金保険」などの貯蓄型保険に加入するのも老後資金を確保する方法の一つです。
終身保険
生涯にわたり死亡保障が続く保険で、加入後一定期間が経過した後に解約することで、支払った保険料以上の解約返戻金を受け取れる場合があります。
個人年金保険
保険料を支払うことで老後の年金を積み立てる保険です。契約時に定めた年齢に達することで、一定期間もしくは終身にわたって年金を受け取ることができます。
これらの貯蓄型保険も各種生命保険料控除により一定金額内で税の控除を受けることができます。
しかし途中で解約することで元本割れが発生したり、あまり高い利回りは期待できなかったりというデメリットもあります。
貯蓄型保険といっても様々な種類や保険会社があるため、気になる方は保険の無料相談などを利用してみてはいかがでしょうか。
公的年金以外で老後資金を確保するための方法を3つご紹介しました。
どの方法にもメリットやデメリットがあり、ご自身やご家庭の状況によって合うものが変わってくるかと思います。
年金以外で老後に備えるということを考えるきっかけにしていただけたら嬉しく思います。
まとめ

- 専業主婦は第3号被保険者の場合は年金を支払う必要がなく、第1号被保険者の場合は年金を支払う必要がある
- 専業主婦であっても、第3号被保険者でなくなった場合は第1号被保険者になるための手続きを行わなければならない
- 第1号被保険者の方で前納制度を使っても支払いが難しい場合は、保険料の免除や納付猶予を利用しよう
- 専業主婦と共働きの妻とでは年金受給額に2倍近くの差がある
- 専業主婦が配偶者と離婚や死別をした場合は受給できる年金額が変わる
- 任意加入制度や付加年金制度などを利用することで受け取る年金を増やすことができる
- iDeCoやつみたてNISA、貯蓄型保険で年金以外の老後資金を確保しよう
専業主婦でも年金の支払いが必要な方とそうでない方がいることが分かりました。
今生活していくことももちろん大切ですが、老後に備えることで子どもに頼らず自立した親でいたいものですよね。
この記事がそんなあなたの手助けになれたら幸いです。
将来の年金についてどうすればいいか不安に思いますよね。
こちらの書籍は「自分」にスポットを当てていますので、しっかり対策が取れますよ。
