就職活動をするときは必ず履歴書を作成しますよね。過去に会社を退職している場合はその旨も履歴書に記載します。
そもそも履歴書には退職理由を書かなければならないのでしょうか。
結論から言うと、人間関係のトラブルといった詳細を退職理由として書く必要はありません。
退職理由が人間関係のトラブルの場合は、それを履歴書に記載するのは抵抗がありますよね。
履歴書には必ず書く内容がありますが、退職理由についてはケースごとの定型句を書けば大丈夫です。
しかし履歴書には記載不要でも、面接では退職理由を尋ねられることがほとんどです。
言いづらい退職理由は、面接官への伝え方を工夫しましょう。
この記事では履歴書への退職理由の記載方法と合わせて、人間関係の問題が原因で退職した場合の面接での対応策を紹介します。
人間関係に問題があって退職する方は非常に多いです。
でも仕事内容は楽しいし、やりがいを感じているのに退職しなくてはいけないのは勿体ないですよね。
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履歴書の退職理由に人間関係のトラブルは書かない!

就職活動をする際に必ず書く履歴書。履歴書にはこれまでの職歴ももちろん記載しますよね。
その際に退職理由まで書く必要があるのでしょうか。
過去に退職した会社があれば、履歴書には退職理由を記載しなければなりません。
しかし、上述した通り、人間関係のトラブルといったような詳細な内容を書く必要はないのです。
では、人間関係のトラブルで会社を退職した経験がある場合は、どのように履歴書に記載するのが決まりなんでしょうか。
また、人間関係以外での理由で会社を退職した場合も気になりますよね。
履歴書における退職理由は、ケースに合わせた定型句を書けば問題ありません!
退職理由のケースは、通常大きく3つに分けられます。
- 自己都合による退職
- 会社都合による退職
- 契約期間満了による退職
ここではそれぞれの退職のパターンごとに退職理由の記載方法を紹介します。
自己都合による場合の退職理由は一身上の都合でOK
先ほど出てきた人間関係のトラブルは「自己都合による退職」という区分に分けられます。
人間関係のトラブルだけでなく、ステップアップのためや地元の企業に転職したい、仕事がおもしろくない、残業が多いのは嫌、なども自己都合による退職となります。
もちろん結婚や出産、夫の転勤、介護の必要なども自己都合退職です。
退職理由が「労働者の意向」によるものでも「労働者の事情」によるものでも、いずれにしても自己都合による退職とみなされます。
自己都合による退職の場合は、履歴書に記載する退職理由はすべて「一身上の都合により退職」で問題ありません。
退職理由について、具体的な内容を書く必要はありません。
会社都合による退職の場合はそのまま履歴書に記載する
では会社都合による退職の場合は、履歴書にどのように記載すればいいでしょうか。
会社側からの申し出により退職した場合の退職理由は、そのまま「会社都合により退職」と書けば大丈夫です。
そもそも「会社都合による退職」というのはどのようなパターンがあるでしょうか。代表的なものをいくつか挙げます。
- 会社の倒産
- リストラ
- 解雇(ただし労働者側に明らかな非がある場合を除く)
- 退職勧奨
- 職場におけるセクハラやパワハラなどの嫌がらせ
- 労働契約と大きく異なる条件での勤務内容
- 過度な時間外労働
わかりづらいものもあるので一つずつ確認しておきましょう。
<会社の倒産>
これはそのままですね。会社が倒産すれば、労働者は働きたくても働けないので、当然会社都合による退職になります。
<リストラ>
会社の経営不振による人員削減のためのリストラといった場合も、もちろん会社都合による退職です。
<解雇(ただし労働者側に明らかな非がある場合を除く)>
会社側から解雇を申し出た場合は、会社都合による退職となります。
ただし、労働者が悪質な規律違反をしたことなどが理由となる解雇は、会社都合による退職にはあたらず自己都合退職となります。
<退職勧奨>
聞き慣れない言葉かもしれませんが、退職勧奨とは文字通り会社側が労働者に退職を勧めることです。
解雇と似ていますが、あくまでも勧めるだけなので、労働者本人の同意が必要です。
とは言え会社からの申し出なので、会社都合による退職に分類されます。
<職場におけるセクハラやパワハラなどの嫌がらせ>
上司や同僚などからセクハラやパワハラなどの嫌がらせを受けたことにより退職した場合も、会社都合による退職になります。
<労働契約と大きく異なる条件での勤務内容>
労働契約を締結した際に会社側から示された労働条件と実際の勤務が著しく違っていたため退職した場合も、会社都合退職となります。
<過度な時間外労働>
健康障害を生ずるような過度な時間外労働が発生していたことにより退職した場合も、会社都合による退職と言えます。
上記のようなケースは会社都合による退職に区分され、履歴書に退職理由を記載するときは「会社都合により退職」と書けば問題ありません。
契約期間満了による退職の場合もそのまま記載する
では契約社員や派遣社員などはどうでしょうか。
元々期間の定めのある労働契約を締結していた労働者が、契約期間を終えて退職する場合は「契約期間満了による退職」と記載します。
もし契約期間が終わる前に、会社側から契約更新の打診があった場合に、労働者がそれを断り、予定通り期間満了で退職した場合も、同じく「契約期間満了による退職」と記載しましょう。
ただし、契約満了のタイミングよりも前に、労働者が退職を申し出た場合は自己都合退職になりますので、「一身上の都合により退職」と記載するのが正解です。
履歴書の退職理由は面接ではポジティブ表現がベター

これまでにお伝えした通り、履歴書には退職理由の詳細を書く必要は無く、ケースに合わせて定型句を記載すれば大丈夫です。
とは言え実際に面接を受ける際には、履歴書に書かれている退職理由の詳細について質問されることがほとんどだと思います。

人間関係の問題で会社を辞めたなんて言いにくいなぁ…
確かに、退職理由が人間関係のトラブルなら、面接官には伝えづらいですよね。
しかし、履歴書に書かれている情報からは、面接希望者がなぜ退職したのか、面接官は読み取ることができません。
以前の勤務先の退職理由は、面接の合否を決める上で重要な要素になります。
そこで、面接で退職理由について問われたときにはどう答えるべきなのかを紹介します。
なぜ面接で過去の退職理由を聞かれるのか?目的は2つ
そもそもなぜ面接で、過去の退職理由を聞かれるのでしょうか。
前の会社のことなんて関係ない、と思う方もいるかもしれません。
しかし面接官にとっては、応募者の過去の退職理由を尋ねることには大切な意図があるのです。
面接する会社が退職理由を確認する目的は大きく2つです。
- 応募者の仕事観を知る
- 応募者のストレス耐性を知る
それぞれの目的について、詳しく説明していきましょう。
<応募者の仕事観を知る>
応募者の退職理由からは、その人が仕事をする上で重視することや、何をモチベーションにして仕事をしているか、といった仕事観がわかります。
それを確認していなければ、実際に入社しても会社の方針や社風とマッチせず、すぐに退職することになってしまう可能性があり、それは双方にとって不利益です。
退職理由から応募者の仕事への価値観を知ることで、会社が求める人材であるかを判断しているのです。
<応募者のストレス耐性を知る>
退職理由からわかるもう一つのポイントは応募者のストレス耐性です。
採用には求人誌や求人サイトに掲載する費用や求人活動における人件費など、多くのコストがかかります。
そのため、入社した人になるべく長く活躍してほしいと思うのが普通です。
応募者の退職理由が、仕事をする上で自分勝手なものだったり、そんなことで?というような内容であれば、入社しても同じ理由でまた退職してしまうのではないかと考えます。
入社後すぐに退職されてしまえば、それまでの時間やコストが無駄になってしまいます。
責任感を持って仕事をやり遂げることができる人材であるかどうか、退職理由から判断するのです。
以上2点から退職理由は面接で聞かれることになるでしょう。
では、言いづらい退職理由はどのようにして面接官に伝えるべきなのでしょうか。
退職理由を聞かれたら?工夫次第で前向きな印象へ
面接で退職理由を聞かれたらどのように答えるのがベターなのでしょうか。
次の3つのポイントに気を付けて伝えればマイナスな印象を与えることはないでしょう。
- 退職理由の説明は前向きな内容になるよう心がける
- 前職への不平不満は言わない
- 退職理由を面接先への志望動機へとつなげる
それぞれのポイントについて、面接では具体的にどう対応すべきかを説明します。
<退職理由の説明は前向きな印象になるよう心がける>
退職理由はどうしてもネガティブなものになりがちですが、面接ではなるべくポジティブな内容になるよう伝え方を工夫しましょう。
「〇〇が嫌だった」ではなく「△△をしたかった」と変えるだけでもプラスの印象になり、仕事への意欲が感じられます。
あくまでも現状を打破し、前向きに仕事がしたいという考えからの転職だったという姿勢を見せましょう。
また、伝えるときは明るい表情でハキハキと話すように心がけると、前向きな印象を与えるでしょう。
<前職への不平不満は言わない>
面接で退職理由を説明するときは、前職に対する不平不満を言うのは絶対にやめましょう。
退職したからには少なからず不満があるものですが、それを面接の場でそのまま伝えてしまうことは、面接官に「何にでも不満を持つ人だ」という印象を与えかねません。
不満や愚痴ではなく、「こういう点が気になっていたので、改善しようと努力したが変えられなかった」とエピソードとして伝えれば、悪い印象にはならないでしょう。
<退職理由を面接先への志望動機へとつなげる>
退職理由を述べるだけではなく、前職でできなかったことを新しい会社では一生懸命取り組みたい、といった志望動機へとつなげるとさらに好印象です。
転職するにあたり色々と悩んだ結果、応募先の会社で貢献したいと思ったことを話し、意欲を伝えましょう。
以上が退職理由を前向きな印象にするための3つのポイントです。
では、退職理由のポジティブな伝え方を、実際の体験談を例にとって見ていきましょう。
実例で学ぶ!退職理由をポジティブな表現で伝える方法
上述した3つのポイントを押さえながら、退職理由をポジティブな表現で伝える方法を実際にあった体験談から学びましょう。

前に働いていた会社では、人間関係が悪く、社員同士楽しく話したり励ましあったりするようなこともありませんでした。そんな環境に嫌気がさし、前向きに仕事をする気持ちになれず転職を決意しました。
これは、私自身が以前働いていた会社を退職した実際の理由です。
社内の人間関係が悪く、圧倒的にコミュニケーションが不足しており、職場の雰囲気はギスギスしていました。
仕事内容においても、同じ結果を求めてみんな働いているのですが、個人プレーに走りがちで、協力し合うということがほとんどありませんでした。
そんな環境が嫌で、今の状況を変えたいと思い、転職を決意したのです。
ですが、この退職理由をそのまま面接で伝えることはあまり好ましくありません。
この理由からは、コミュニケーション能力が低いのではないか、ネガティブなのではないか、という印象を面接官に持たれかねないからです。
また愚痴や不満を言っていると思われるのもマイナスな印象です。
そこで、この退職理由をなるべく前向きなものになるように伝えましょう。
下記のようにポジティブな表現で言い換えればどうでしょうか。
前職ではチームで仕事をするというよりは、個人プレーで動くことが多い環境でした。しかし私はチームワークを活かし、コミュニケーションをとりながら協力し合って仕事をすることに喜びを感じるタイプなので、転職を決意しました。御社に入社したら、仲間と協力しながら目標を達成できるよう努力したいです。
ネガティブな印象にならず、前職への不満を言っているようにも感じませんよね。
実例のように、退職理由が人間関係である場合は、このように変換するとポジティブな印象に伝わるでしょう。
人間関係が改善すれば退職する必要はありませんよね。
まず、退職を考える前に人間関係の改善にも挑戦してみましょう。
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履歴書の退職理由を例文で紹介!詳細を書くべきケース

ここまでの内容の中で、履歴書に記載する退職理由はケースごとの定型句を書き、詳細まで書く必要はないとお伝えしました。
しかし、退職理由の詳細を具体的に履歴書に記載した方が良いこともあるのです。それは以下のような場合です。
- 結婚や出産、介護などの事情による
- 転職回数が多い、短期間で会社を辞めている
- 空白期間が長い
- 職歴に一貫性が無い場合
このような場合に「一身上の都合により退職」としか記載していなければ、見た人に誤解を与えてしまうかもしれません。
採用担当者にマイナスイメージを持たれてしまうと、転職活動が不利になってしまいますよね。

じゃあどうやって書けばいいの?例文が知りたい!
どのように退職理由を記載すればよいのか悩みますよね。わかりやすく例文を紹介します。
それぞれのケースについて、実際に履歴書に記載する退職理由の例文とあわせてチェックしてみましょう。
結婚や出産などによる場合の退職理由はそのまま書く
ここでは退職した理由が本人の事情によるものである場合の例文を紹介します。
本人の事情による退職は、具体的には下記のようなものが挙げられます。
- 結婚や出産で専業主婦になった
- 夫(妻)の転勤に伴い、住居を移転することになった
- 親の介護が必要になった
- 病気になった
上記でも少し触れましたが、こういったやむを得ない事情がある場合は、その旨を記載している方がよいでしょう。
単に「一身上の都合により退職」とするよりは、印象がよくなります。実際に履歴書に記載する例文はこちらです。
令和〇年△月 結婚により退職
令和〇年△月 出産のため退職
令和〇年△月 配偶者の転勤に伴い退職
令和〇年△月 親の介護のため退職
令和〇年△月 病気の治療のため退職(現在は完治)
退職理由が労働者のやむを得ない事情の場合はこのようにそのまま書きます。
短期間で会社を転々としているなら前向きな理由を記載
以前に働いていた会社を短期間で辞めていたり、転職回数が多い場合は、「一身上の都合により退職」だけでは採用担当者に不信感を抱かせるかもしれません。
こういった場合も具体的に退職理由を記載して、フォローしましょう。
退職理由が本人の希望であれば、実際はネガティブな理由によるものが多いですよね。
しかし退職理由を面接で問われた場合と同じく、ネガティブなものはなるべくポジティブな印象になるよう工夫する必要があります。
面接のときはある程度しっかりと説明することができますが、履歴書に記載するのはほんの一文です。一言で前向きな印象になるような表現を使いましょう。
それでは履歴書に記載する退職理由の例文を紹介します。
令和〇年△月 他業界への挑戦のため退職
令和〇年△月 キャリアアップをはかるため退職
このように記載すれば、ポジティブな転職だったという印象を与えられるでしょう。
会社を短期間で退職したり、転職回数が多くなっていたりする原因が、先ほど書いたような「やむを得ない事情」なのであれば、上記の通りそのまま履歴書に記載すれば問題ありません。
空白期間が長い場合は何をしていたかを書けばよい
離職期間が長い場合、採用担当者はその期間に何をしていたのかという疑問を持つでしょう。
上に挙げたようなやむを得ない事情の場合はそのまま記載すれば、職歴の空白期間は説明しなくても伝わります。
そうでない場合は空白期間に何をしていたかを、下記のように具体的に記載しましょう。
令和〇年△月 資格取得の勉強のため退職
令和〇年△月 一身上の都合により退職、その後フリーランスとして活動
職歴に一貫性が無い場合は表現を工夫してフォロー
エンジニアから営業職、飲食業から美容業界へ、と職種や業種に一貫性が無い場合は、理由を記載しておいた方がいいでしょう。
適切なフォローが無いと、「長続きしない人なのか」「転職癖があるのか」といった印象を持たれかねません。
履歴書の文言ではわからなくても、自分のキャリア展望の中では一貫性がある場合も、履歴書に理由を記載した上で、職務経歴書や面接でしっかりと説明しましょう。
令和〇年△月 エンジニアの経験を活かしシステムの営業へ転身するため退職
令和〇年△月 飲食業での接客経験を活かしエステティシャンへ転身するため退職
このように履歴書に記載すれば、職種や業種が異なる転職をした考えがわかりやすく伝わるでしょう。
まとめ

- 履歴書の退職理由に人間関係のトラブルを書く必要は無い
- 履歴書に記載する退職理由は基本的にはケースごとの定型句で良く、自己都合による退職の場合は「一身上の都合により退職」と書く
- 会社都合による退職や契約期間満了による退職はそのまま記載する
- 面接官が退職理由について尋ねるのは、応募者の仕事観やストレス耐性を確認するためである
- 履歴書に記載した退職理由について面接で詳細を聞かれたときはなるべく前向きな印象になるよう伝え方を工夫する
- 転職回数が多い場合など、履歴書に退職理由の詳細を記載した方がいいケースもある
退職理由に書きづらい人間関係のトラブルは、履歴書には記載する必要が無いことがわかりましたね。
一方で面接では具体的な内容を問われることが多いので、退職理由が人間関係のトラブルのときも面接官になるべくポジティブに伝わるよう工夫が必要なこともわかりました。
これから就職活動をする人は、退職理由の履歴書への記載方法や面接での対応策について、ぜひ参考にしてくださいね。
人間関係が原因での退職では履歴書に退職理由を記載しなくても良いことが分かりました。
しかし、転職先でも人間関係はついてきます。
良い人間関係を作るための知識を増やしておきましょう。
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