最近よく耳にするキャリアコンサルタントという仕事。
実は相談者のキャリア形成についてアドバイスを行うことのできる国家資格なんです。

キャリアコンサルタントは国家資格なのね!資格取得後はどんな働き方ができるの?
キャリアコンサルタントの資格取得後は、様々な働き方をすることが可能です。
今勤めている会社でその資格を活かすこともできますし、転職やフリーランスとしての活動においても有利であると言えるでしょう。
この記事では、キャリアコンサルタントの資格取得後のキャリアについて説明した上で、資格取得にかかる費用や試験対策についても紹介します。
キャリアコンサルタントに興味のある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
キャリアコンサルタント資格取得後の働き方は多種多様

キャリアコンサルタントの資格取得後はどのような働き方ができるのでしょうか。
また、資格取得後はどのような手続きを経て正式にキャリアコンサルタントになるのでしょうか。
ここではキャリアコンサルタントの概要と、資格取得後の動きについて説明します。
キャリアコンサルタントは働き方の助言を行う専門家
キャリアコンサルタントはそもそもどんな仕事なのでしょうか?
キャリアコンサルタントとはキャリアコンサルティングを行うことで、相談者のキャリアのサポートを行う専門家です。
「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。
引用:厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」 厚生労働省ホーム
働き方が多様化した現代社会において、人々が自分のキャリアについてこれまで以上に考えるようになり、キャリアについて相談できる専門家の必要性が大きくなりました。
そんな背景があってキャリアコンサルタントの需要が高まり、2016年に従来の民間資格から国家資格へと引き上げられたのです。
キャリアコンサルタントは名称独占資格の一つであり、この国家資格を取得していなければ「キャリアコンサルタント」と名乗ることはできません。
そのため、権威性と信頼性が高く、多くの場でキャリアコンサルタントの有資格者が重宝されています。
キャリアコンサルタント資格取得後は登録手続きを行う
資格取得後に、実際にキャリアコンサルタントを名乗るためには、キャリアコンサルタント名簿に登録する必要があります。
キャリアコンサルタント名簿登録にかかる流れは以下の通りです。
- 専用Webサイトから登録申請を行う・申請書類を郵送する
- 登録センターによる申請内容の受理・審査
- 登録手数料8,000円(非課税)の支払い
- 登録証の交付→本人宅へ郵送
登録はまず「国家資格キャリアコンサルタントWebサイト登録センター」というWebサイトから申請を行います。(引用:キャリアコンサルタントWebサイト登録センター)
Web申請ができたら必要な申請書類と登録免許税として9,000円分の収入印紙を送ります。
登録センターによる審査には4週間程度かかり、審査が完了のメールが届いたら登録手数料8,000円(非課税)を支払います。
入金が確認されたら登録証が交付・郵送され、登録手続きが完了し、晴れて正式なキャリアコンサルタントの道を歩むことができます。
登録の流れについての詳細は、国家資格キャリアコンサルタントWebサイト登録センターをご確認ください。
登録に期限はありませんが、合格後5年を経過すると、登録前に講習を受講しなければなりませんので注意してくださいね。
キャリアコンサルタント資格取得後のキャリアを紹介
資格取得後、登録手続きを完了させたら、あなたのキャリアコンサルタントとしての人生の始まりです。その資格をどのように活かすかはあなた次第ですよ。
キャリアコンサルタントの資格を取得したら、どのように働けばよいのでしょうか。考えられる主な選択肢は以下の3つです。
- 今いる会社でスキルとしてキャリアコンサルティングを活かす
- 副業やフリーランスとしての活動を行う
- キャリアコンサルタントが重宝される業界へ転職する
どれもキャリアコンサルタントの資格を活かすことのできる魅力的な働き方ですね。では、それぞれのキャリアについて詳しく見ていきましょう。
<今いる会社でスキルとしてキャリアコンサルティングを活かす>
最近では、キャリアコンサルタントは一般企業においても、その価値を認められているようです。
キャリアコンサルティングを受けた社員は仕事へのモチベーションがアップすると言われています。
会社の人材が、他社に流出することなく、意識高く仕事に励んでくれることは、企業にとって大きなメリットです。
そのため、キャリアコンサルタントを導入する企業が増えているのです。
また、キャリアコンサルティングで身につくスキルは、仕事をしていくうえでとても役に立ちます。
同僚や後輩への接し方にも良い影響が出て、業務の円滑化や人材育成といった観点において、大きな効果を得られるでしょう。
<副業やフリーランスとしての活動を行う>
キャリアコンサルタントは副業としての働き方や、フリーランス活動との相性がとてもいい仕事であると言われています。
それは、キャリアコンサルティングがオンラインでできることや、就職イベントなどの単発仕事を受けることができるといったメリットがあるからでしょう。
平日は企業で勤めながら、仕事終わりや休日にはキャリアコンサルタントとしての仕事を行うことが可能です。
最初のうちは週末起業のような形式を取りながら、キャリアコンサルタント業が軌道に乗れば、正式に独立してフリーランスとして活動するのもいいかもしれませんね。
<キャリアコンサルタントが重宝される業界へ転職する>
キャリアコンサルタントの資格保有者がより求められる業界もあります。
今いる企業で資格が活かせない場合や独立を考えていない場合は、キャリアコンサルタントが有利になる業界へ転職することも選択肢の一つでしょう。
キャリアコンサルタントが転職するのに有利になる業界については、次の章で詳しくお話します。
キャリアコンサルタントが重宝される業界4つを紹介
キャリアコンサルタントの有資格者は、業界を問わず転職に有利になる場合がありますが、その中でもとりわけ重宝される業界は以下の4つです。
- 人材ビジネス業界
- 教育業界
- ハローワークやジョブカフェなどの公的職業紹介機関
- 引きこもりやニートの支援を行うNPO法人など
それではそれぞれの業界について、キャリアコンサルタントがどのように活躍できるかをチェックしましょう。
<人材ビジネス業界>
人材派遣業や人材紹介業といった人材ビジネス業界は、キャリアコンサルタントを最も重宝している業界であると言っても過言ではありません。
人材を求めている企業と、仕事を探している求職者をマッチングさせるには、的確なキャリアコンサルティングが必要です。
そのため、人材派遣会社等では、社員にキャリアコンサルタントの資格の取得を推奨している企業もあり、資格者には給与に手当が付く場合があります。
キャリアコンサルタントの資格を活かすには、人材サービスを取り扱っている企業に籍を置くのが最も有益な選択肢の一つであると言えるでしょう。
<教育業界>
高校や大学、専門学校などの教育機関においても、キャリアコンサルタントは活躍することができます。
仕事は主に学生の進路についての相談に乗ることですね。
進学や就職といったキャリアについてアドバイスすることは、学生の進路選択に大きな影響を与えます。
教育機関におけるキャリアコンサルタントには、未来ある若者を支援し、人生の一歩を後押しするような大切な役割が求められています。
<ハローワークやジョブカフェなどの公的職業紹介機関>
公的な職業紹介機関であるハローワークやジョブカフェでも、キャリアコンサルタントは必要とされています。
ここでは仕事を探している人に対してキャリアコンサルティングを行い、ピッタリな仕事を紹介することが主な仕事です。
また、相談者のキャリア形成に必要なスキルを得ることができる職業訓練を提案することもあります。
実は私自身もハローワークでキャリアコンサルティングを受けた経験があります。
当時勤めていた会社で働き続けることに疑問を感じており、全く別の業種への転職を検討していました。
新しい仕事を探すにあたって、とても不安を感じていましたが、キャリアコンサルタントでもある職員の方とじっくり話をして、無事転職先を見つけることができました。
次の会社では、自分の希望に合った仕事をすることができ、これまでになかったスキルを身につけられたので、あの時のキャリアコンサルタントの方にはとても感謝しています。
ハローワークなどに来ているのは、現状仕事が無い人や、当時の私のように勤めている会社やこれからのキャリアに不安を持っている人が多いですよね。
そういった人のキャリアコンサルティングは大変ですし、責任の重い仕事ではありますが、その分大きな経験になります。
また、良い選択をすることができた相談者からは感謝されることが多く、とてもやりがいのある仕事だと言えるでしょう。
<引きこもりやニートの支援を行うNPO法人など>
引きこもりの人や不登校児、ニートの人などを支援するNPO法人等の団体においても、キャリアコンサルタントは求められています。
働くことに不安を抱えている人に向けての勉強会やセミナー、ワークショップなどのイベントの企画運営に携わったり、キャリア相談になったりといったことが主な仕事です。
こういった団体を通して出会う相談者たちは、そもそも働く気持ちを持てていなかったり、働きたくてもなかなか一歩を踏み出せなかったりと様々です。
彼らにキャリアコンサルティングを行うことは簡単ではありませんが、その分経験値になり、キャリアコンサルタントとして大きく成長することができるでしょう。
キャリアコンサルタント資格取得までの期間は最短90日

キャリアコンサルタントの資格取得は、あなたの人生において、働き方の選択肢を増やすことがわかりましたね。
もしキャリアの領域でやりがいのある仕事をしたいと感じているなら、キャリアコンサルタントの資格取得にチャレンジしてもいいかもしれません。
では、キャリアコンサルタントの資格取得までにはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。
キャリアコンサルタント試験合格までの期間は最短で90日程度と言われています。
その数字はキャリアコンサルタントの受験資格の問題が関わってきます。
それでは、キャリアコンサルタントの試験合格までの期間を、受験資格をおさえながらチェックしてみましょう。
キャリアコンサルタント資格試験には受験資格がある
キャリアコンサルタントの資格取得までにはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。
それを説明するには、まずキャリアコンサルタント資格試験の受験資格について知る必要があります。
キャリアコンサルタント資格は誰でも受けることができるものではありません。
厚生労働省によって定められている受験資格を満たす必要があります。
キャリアコンサルタント資格試験の受験資格は、以下の要件のいずれか一つを満たすことです。
- 厚生労働大臣が認定する講習を修了した者
- キャリアコンサルティングの3年以上の実務経験を有する者
- 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者
- キャリアコンサルタント能力評価試験の受験資格である養成講座を修了した者
上記の要件を簡単に説明すると、キャリアコンサルティングに関して全くの初心者がこの試験を受験する場合は、厚生労働省認定の養成講習を受講しなければなりません。
養成講習は厚生労働省のカリキュラムに基づいて150時間ほどありますので、キャリアコンサルタント合格までは現実的に見て、90日程度の期間を要するというわけです。
キャリアコンサルタントの養成講習は20以上の機関で実施されており、通学タイプやオンラインタイプなど形式が異なり、かかる費用も様々です。
興味のある方は、ホームページ等で調べて、自分に合うものを選びましょう。
キャリアコンサルタント資格試験の内容と学習法を紹介
キャリアコンサルタントの資格試験には受験資格が必要だということがわかりましたね。
では、その試験はどのような形式で行われるのでしょうか?
キャリアコンサルタントの資格試験は「学科試験」と「実技試験」の2科目から構成されています。
<学科試験>
四肢択一のマークシート方式50問で、試験時間は100分。
<実技試験>
論述試験と面接試験の2つから成る。
論述試験は事例記録を読み設問に解答する記述問題で、試験時間は50分。
面接試験はキャリアコンサルティングのロールプレイ15分と、試験官の質問に答える口頭試問が5分。
キャリアコンサルタントの資格試験は、他の国家資格と比べると難易度が低いと言われています。
しかしながら、上記の内容を見れば試験対策をせずに合格を勝ちとるのは難しいことがわかるでしょう。
キャリアコンサルタントの資格試験は対策が必要
上述した通り、未経験者がキャリアコンサルタントの資格試験を対策なしに合格することはほぼ不可能でしょう。
キャリアコンサルタントの資格試験対策として大事なのは、過去問を繰り返し練習することと、ロールプレイングの数をこなすことです。
対策は独学でも可能ですが、ロールプレイングの練習を1人でするのは難しいですよね。
家族や友人に頼んで協力してもらうのも一つの手ですが、できればプロの意見を聞くことが望ましいでしょう。
キャリアコンサルタントの資格試験の対策には通信講座を活用することもおすすめです。
対策講座もたくさんありますので、それぞれの特徴を調べて、自分に合ったものを選んで受講するのもいいでしょう。
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マンツーマン形式のオンラインレッスンで、ロープレについても現役キャリアコンサルタントから的確なアドバイスをもらえるのがうれしい。
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キャリアコンサルタント資格取得には助成金を活用

ここまででキャリアコンサルタント資格取得・合格後の働き方が見えてきましたね。

キャリアコンサルタントになるにはどれだけのお金がかかるか不安…
確かに、キャリアコンサルタントになるには、受験料や登録料だけでなく、受験資格の要件を満たすための講習料金など、決して安くない費用がかかります。
ですので、資格取得に際しては助成金を活用して、なるべく費用を抑えましょう。
キャリアコンサルタント試験を受験して合格した場合には、講習料金として支払った金額の最大70%が戻ってくるという制度があるのです。
キャリアコンサルタントの養成講習は、運営会社によって金額は様々ですが、30~40万円程度はかかると言われており、資格取得のネックになっている人も少なくありません。
それが、助成金を活用することで、70%が返ってくるとしたら、とてもありがたいですよね。
ここではキャリアコンサルタントの資格取得に使える助成金について紹介します。
キャリアコンサルタントの資格取得にかかる費用を紹介
キャリアコンサルタントになるにはどれくらいのお金がかかるのでしょうか。
なんと、合計で40万円程度かかると言われています。
その内訳ですが、未経験であれば、まずは受験資格を得るために養成講習を受ける必要がありますが、この受講料がおよそ300,000~400,000円程度です。
そして、試験の受験料は学科試験と実技試験を合わせて38,800円(税込)です。
上述した通り、キャリアコンサルタントを名乗るためには合格後名簿登録をする必要がありますが、それにかかる金額が登録免許税と非課税の登録料で17,000円です。
つまり合計で355,800~455,800円程度が必要になるというわけです。
資格取得には助成金を活用して費用を抑えよう
キャリアコンサルタントになるには、40万円程度の費用がかかることがわかりましたね。
これに活用できるのが「専門実践教育訓練給付金」という助成金です。
この助成金を活用すれば、支払った金額の最大70%が戻ってくるのです。
ではこの助成金について説明しましょう。
専門実践教育訓練給付金とは、厚生労働省指定の「専門実践教育訓練」の講習を修了した人に対して、学費の受講料の50%が支給されるという助成金です。
さらに試験に合格した場合は最大70%が支給されます。
専門実践教育訓練給付金の受給要件は以下の通りです。
<初めてこの制度を活用する場合>
通算2年以上雇用保険の被保険者であること
<以前にこの制度を活用したことがある場合>
通算3年以上雇用保険の被保険者であり、かつ前回の受給から3年以上が経過していること
自分自身が上記の要件を満たし、受講する講座が給付金対象として、厚生労働省から指定を受けていることが必要です。
では、受給要件を満たすことができると、どれくらいの金額を受給することができるのでしょうか。以下に簡単に紹介します。
<指定講座の受講修了>
一定以上の授業の出席率と修了試験での得点で、講座の受講修了と判定された場合は、受講に際し支払った受講料の50%が支給されます。
<資格試験合格>
講習を修了し、学科試験と実技試験の両方について一発合格した場合は、上記に20%追加の70%が支給されます。
ただし、講習修了日~1年以内に雇用保険に加入した人(就職した人)、またはすでに雇用保険に加入している人(勤務している人)に限られます。
自分が要件に当てはまるかどうかわからない場合は、最寄りのハローワークにお問い合わせくださいね。
助成金の活用は事前申請が必要なので注意しよう
上で説明した通り、専門実践教育訓練給付金では学費の最大70%が支給されるため、絶対に活用したいところですよね。
ここは重要なポイントですが、専門実践教育訓練給付金は、受講開始日の1か月前までの事前申請が必要なので注意しましょう。
厚生労働省の指定を受け、助成金の対象となるキャリアコンサルタントの養成講習であれば、申込の際に専門実践教育訓練給付金について説明があるかと思います。
ですが、念のため、自身でしっかりと確認するようにし、助成金の利用を学校側に伝えるようにしましょう。
専門実践教育訓練給付金申請のための、講習受講前の流れは以下の通りです。
- 訓練前のキャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを交付してもらう
- 必要書類をハローワークに提出する
- 受給資格者証が発行される
講習を受講する1か月前には上記の手続きが必要だということですね。
それでは、実際に講習が修了し、給付金の申請を行うときはどうすればよいでしょうか?
キャリアコンサルタント養成講習の修了日の翌日から1か月以内に、ハローワークに必要書類を提出しましょう。
審査が通れば、受講費の50%に当たる金額が支給されます。
さらに、資格試験に合格した場合は、追加の20%が受けられます。
その際の手続きは、上述したキャリアコンサルタント名簿への登録が済み、登録証が発行されてからになりますので、なるべく早く名簿登録を行いましょう。
専門実践教育訓練給付金の申請の詳細については、ハローワークのホームページを確認するか、最寄りのハローワークにお問い合わせください。
引用:ハローワーク「教育訓練給付制度」引用:ハローワークインターネットサービス
まとめ

- キャリアコンサルタントは相談者に対して働き方のアドバイスを行うキャリアの専門家である
- 資格取得後は、名簿登録の手続きを行うことで、キャリアコンサルタントを名乗ることができる
- キャリアコンサルタントの資格取得後は、今いる会社に活かしたり、フリーランスとして活動したりすることができる
- キャリアコンサルタントの資格は人材ビジネス業界や教育業界などでは有利になる
- キャリアコンサルタントの資格取得までの期間は最短で90日程度かかる
- キャリアコンサルタントの資格取得には費用がかかるため、助成金を活用しよう
この記事ではキャリアコンサルタントを目指す段階から資格取得後までの流れについて説明しました。
キャリアコンサルタントの仕事は簡単ではありませんが、とてもやりがいがあり、人の役に立つ仕事です。
キャリアの領域で働くことを望むなら、現代社会において需要の高いキャリアコンサルタントはおすすめです。
専門実践教育訓練給付金を活用して、国家資格であるキャリアコンサルタントを目指しましょう。