親が定年退職をしたため自分の扶養に入れたい、と考えたことはありませんか?
6親等以内の親族なら生計を一緒にすることで、扶養控除の対象になるので、親を扶養に入れることは可能ですよ。
ただし、扶養控除は親の収入や年金の金額によって、受けることができないこともあります。
私の父も祖母を扶養に入れるか考えている時期がありました。
しかし、祖母は働いており年金と合わせると、扶養控除を受けることができない金額になります。
「充分に暮らしていけるから大丈夫だよ」と言われ、祖母を扶養に入れることは辞めたようです。
このように、親を扶養に入れたいと考えている方は、事前にしっかりと話し合うことが大切ですよ。
それでは、親を養う場合に受けることができる、扶養控除の金額を見ていきましょう。
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扶養控除の金額は親を養うと納税者の所得税が減る

親を養っておりいくらかの金額の扶養控除を受けようと考えている方は多くいます。
いくらかの金額の扶養控除を受けるにはいくつかの条件があるので注意が必要です。
親が働いており所得の金額が多い、個人事業主で扶養したい人に給料を支払っている、などは扶養控除の条件外になります。
そこで、親を養うことで受けられる扶養控除の条件や申請方法をご紹介していきます。
扶養控除とは親族を養うと税金の負担が減ること
扶養控除とは、納税者が親族を養っている場合に受けることができる、一定の所得税が控除される制度です。
つまり、現役で働いている納税者が親や子供を養うことで、税金の負担を軽くすることができる制度ですね。
例えば、収入が少ない親を自分の扶養に入れ養うことで、いくらか所得税を控除してもらうことができます。
扶養控除の金額は、養っている方の基本的な生活費から計算され、納税者の所得税から控除されますよ。
扶養控除を受けるための手続きには、年末調整か確定申告を行う必要があります。
扶養控除が適用される方は、控除されているかしっかりと確認しましょう。
ただし、配偶者は配収者控除や配偶者特別控除という制度になるので、扶養控除とは別になります。
また、16歳未満の子供を養っている場合も、扶養控除ではなく児童手当となりますよ。
仕事を引退した親を扶養に入れたいと思っている方は、その条件をしっかりと確認しましょう。
扶養控除の条件について、次の項目でご紹介していきますね。
扶養控除を受けられる条件を確認しておこう

自分の親を扶養に入れたいけど条件はあるのかな
扶養控除は誰でも受けられるわけではなく、いくつかの条件があります。
気になる扶養控除を受けることができる条件をご紹介していきます。
- 16歳以上で6親等以内の血族か3親等以内の姻族である
- 生活費を扶養している人が負担していること
- 扶養されている人の所得が38万円もしくは48万円以下であること
- 個人事業主の場合は青色申告の事業専従者としてその年の所得がないこと
- 個人事業主の場合は白色申告者の事業専従者ではないこと
個人事業主の場合は難しい内容になりそうですね、詳しく見ていきましょう。
<16歳以上で6親等以内の血族か3親等以内の姻族である>
16歳未満の子供は扶養控除ではなく「児童手当」として手当の支給を受けることができますよ。
ですので、扶養控除の条件として16歳以上という年齢制限が設けられています。
血族とは扶養する人と養子を含む血のつながった親族のことです。
血族の場合は6親等以内、高祖父母の祖父母(祖父母の祖父母の祖父母)から昆孫(孫の孫の孫)までの親族のことですね。
それに加えて、あなたからみて従姪孫(いとこの孫)までの親族も扶養控除の対象となります。
現実的に考えると、父母や祖父母、曾祖父母が扶養控除の対象になると覚えても良いのではないでしょうか。
また、姻族とは扶養する人の配偶者と血がつながっている親族という意味です。
姻族の場合は3親等以内、つまり配偶者の曾祖父母からひ孫、叔父叔母と甥姪までが対象となります。
自分や配偶者の親を養っている場合は、扶養控除の対象になりますよ。
<生活費を扶養している人が負担していること>
扶養控除の条件には生活費用を扶養している人が負担していることがあります。
これは、親と別居している場合でも、扶養する人の仕送りで生活していれば適用されますよ。
ただし、兄弟で親に仕送りをしているケースでは、扶養控除は誰か1人しか受けることができません。
扶養控除を受けるのが誰になるのかをよく話し合ってくださいね。
<扶養されている人の所得が38万円もしくは48万円以下であること>
こちらの条件は扶養される人の年齢によって所得の上限が決まります。
親が69歳以下なら38万円、70歳以上なら48万円の上限があるので、パートなどしている場合は注意が必要です。
また、年金は所得に入らないので所得はそれ以外の収入と考えましょう。
扶養されている人が働いている場合は、所得の上限以内に納めてくださいね。
<個人事業主の場合は青色申告の事業専従者としてその年の所得がないこと>
事業従事者とは、個人事業主やフリーランスの納税者のもとで働く親族のことです。
家族経営の店で親や夫、妻のもとで働き給与を得るというイメージですね。
納税者が青色申告を行っている場合は、その年は事業専従者として所得のない状態であることが扶養控除の条件です。
例として前年は納税者のもとで働いていたけど、ケガや病気で今年の所得はない、というケースが対象となります。
個人事業主やフリーランスの方が親に対して給与を支払っている場合は、扶養控除を受けることができないので注意が必要です。
<個人事業主の場合は白色申告者の事業専従者ではないこと>
個人事業主やフリーランスの方が白色申告を行っている場合は、事業専従者に対する扶養控除を受けることができません。
白色申告と青色申告は事前に税務署に申請しているかどうかの違いがあります。
扶養控除を受ける場合の条件は白色申告も青色申告も変わりませんよ。
その年の確定申告に事業専従者の給与がないことによって、扶養控除を受ける条件になります。
親を養い扶養控除を受ける条件は意外と細かく設定されていますよね。
個人事業主やフリーランスの方はより複雑な条件になります。
扶養控除を受けたい場合はしっかりと確認してから、親の働き方を相談していきましょう。
扶養控除は年末調整か確定申告で受けることができる

親を扶養に入れたけど扶養控除の受け方はどうすればいいの?
扶養控除の申請方法は年末調整と確定申告の2通りあり、納税者の働き方によって変わります。
扶養控除を受けるために、それぞれの申請方法を見ていきましょう。
- 会社員や公務員が対象
- 会社の指示に従い扶養控除等申告書に必要事項を記入し提出する
会社員や公務員の方は12月ごろに年末調整がありますよね。
年末調整がある方は会社の指示に従い、扶養控除等申告書に必要事項を記入し提出することで手続きは完了します。
難しいことや自分から行う手続きは一切ないので、簡単に扶養控除を受けることができますよ。
ただし、年収が2,000万円以上の方や途中退職者、2か所以上から収入がある方は確定申告を行う必要があります。
1年を通して同じ会社に勤めている方は、年末調整のみで手続きは終わりますよ。
- 個人事業主やフリーランスの方が対象になる
- 確定申告を行う際「扶養控除」の欄に必要事項を記入する
確定申告は2月16日~3月15日の間に、個人事業主やフリーランスの方が行う申請方法です。
いつも提出している確定申告の書類に「扶養控除」の欄があるので、そこに必要事項を記入し提出します。
扶養控除の欄には「扶養親族の名前」「続柄」「扶養親族の生年月日」「控除額」を書きましょう。
また、確定申告には確定申告書Aと確定申告書Bがあり、それぞれ対象者が異なりますが基本的に確定申告書Bを使用します。
個人事業主やフリーランスの方は確定申告を行わなければ、扶養控除を受けられないので忘れずに提出しましょう。
あなたが会社員か個人事業主かで扶養控除を受けるための申請方法は変わります。
扶養控除を受けようと考えている方は、必要項目を確認しておくとスムーズに申請することができますよ。
扶養控除の金額は計算できる?年齢から見ていこう

扶養控除を受ける際にあらかじめ自分で金額を計算できたら安心ですよね。
扶養控除の金額は親族の年齢や年金を受け取っているかなどの状況で異なります。
控除額の計算をする際は、親族の状況を確認しておくとスムーズですよ。
ここでは、あらかじめ計扶養控除の金額を計算したものをご紹介していきます。
扶養控除の金額は年齢で変わる!気になる内容を紹介

扶養控除の金額を知りたいな
納税者が養っている親族の年齢によって扶養控除の金額が変わります。
では、扶養控除でどのくらいの金額が控除されるのでしょうか、詳しい金額を見ていきましょう。
区分 | 内容 | 金額 |
一般の控除対象扶養親族 | その年の12月31日時点で16歳以上の扶養親族のこと | 38万円 |
特定扶養親族 | その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の扶養親族のこと | 63万円 |
老人扶養親族(同居老親等以外) | その年の12月31日時点で70歳以上の同居していない扶養親族のこと | 48万円 |
老人扶養親族(同居老親等) | その年の12月31日時点で70歳以上の同居している扶養親族のこと | 58万円 |
以上が扶養控除で受けることができる詳しい金額です。
親を扶養に入れる際は同居しているか否かでも、扶養控除の金額に関わってきます。
親を扶養に入れる際は同居するかどうかも、一緒に決めると良いのかもしれませんね。
また、納税者が確定申告や年末調整によって受けることができる「基本控除」の金額も合わせて見ていきましょう。
基本控除は年間の所得が2,500万円を超えなければ、誰でも受けることができます。
扶養控除の金額と一緒に覚えておくと節税をする際に役立ちますよ。
ほかにも税金の控除には、医療費控除や雑損控除、生命保険料控除など、さまざまな内容のものがあります。
自分がどの控除を受けることができるのか、1度確認してみると上手に節税することができますよ。
扶養控除は48万円以下の所得に抑えることが大切になる
パートやアルバイトをしていると「103万円の壁」という言葉を聞いたことがありますよね。
これは、扶養控除を受けることができる年収のボーダーラインの金額です。
実はこの103万円の壁は、扶養控除を受けることができる金額の48万円と関わっていますよ。
収入と所得という言葉は似ていますが、違う意味を持っています。
収入=月に受け取る給料の金額のこと(額面)
所得=収入から必要な経費を差し引いた金額のこと(手取り)
つまり、給料から所得税などを差し引かれた金額が所得ということになります。
パートやアルバイトの方も「給与所得控除」で年収から税金を控除することができますよ。
この給与所得控除があるため、パートやアルバイトは103万円に抑えると良いとされています。
「103万円-55万円(給与所得額)=48万円」となるように調整することで、所得税がかからずに働けるのでお得ですね。
また、公的年金で生活をしている方も、48万円を意識することでパートを行うことができますよ。
年齢によって異なりますが「公的年金-公的年金等控除額」で所得の金額を計算することができます。
公的年金等控除額は65歳未満の方は60万円、65歳以上の方は110万円です。
扶養控除を受けることができる所得の金額は、65歳未満の方は108万円、65歳以上の方は158万円となっています。
これは「年金等控除額の金額+48万円」という式で計算されていますよ。
103万円の壁や108万円の壁とは、実は収入から控除額を引いて48万円になる金額です。
所得税がかからずに、扶養控除を受けることができる金額は、重要なのでぜひ覚えておきましょう。
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扶養控除の金額は年金で暮らしている親にも適用される

年金で暮らしている親を自分が養うことで、扶養控除を受けることができるのか気になりますよね。
親を養うことで扶養控除によって、所得税の金額を節税することができますよ。
親が年金をもらいながらパートなどをしている場合は、収入の金額によっては扶養控除の対象から外れるので注意が必要です。
ここでは、年金で暮らしている親を養い扶養控除を受ける際の注意点と、パートでどのくらいの金額を稼ぐことができるのか見ていきましょう。
扶養内で働く場合は103万円を超えると所得税がかかる
先ほどもご紹介しましたが、パートやアルバイトをしていると、「103万円の壁」という言葉を耳にしますよね。
私もアルバイトをしていると「扶養内で働いているから今月は全然出勤できないのよね」と言うパートの方と話したことがあります。
103万円に抑えてほしいと配偶者の勤めている会社からも言われているらしいです。
その分給料も減るということなので、その方は年末に近づくと大変そうでした。
このように年収が103万円を超えないように調整しながら、働いている方も多くいらっしゃいます。
扶養控除で103万円という数字には、所得税が関わってきますよ。
収入が103万円を超えてしまうと、パートやアルバイトでも所得税を支払う義務ができます。
所得税のボーダーラインがこの年収103万円ということになりますね。
扶養控除はその年の1月1日から12月31日までに発生した所得から税金の計算をします。
ですので、年収を103万円に抑えておきたいという方が多いようです。
他にも住民税は年収100万円、社会保険の加入義務が年収106万円を超えると発生します。
ただし、社会保険は年収130万円を超えない限り、扶養控除の対象になるので税金を支払う金額は変わりません。
扶養控除を受けつつ働きたいという方は、年収103万円に抑えると安心して収入を得ることができますよ。
これからパートやアルバイトを始めようと思っている場合は、扶養控除の金額を確認してみてくださいね。
年金暮らしの父親から母親の扶養は外さない方が良い

父が定年退職したら母は私の扶養に入れた方がいいのかな?
今まで父親が働き母親に対して配偶者控除をしてきたと考えると、自分の扶養に入れた方が金銭的な余裕はできると思いますよね。
しかし、父親の扶養から母親を外してしまうと、かえって支払うべき税金が増えてしまうかもしれません。
父親の年金が180万円以上ある場合は、母親を扶養していれば住民税が控除されますよ。
仮に住民税の金額が多い地域として考えて、所得が年間83万円以上あると税金が発生します。
父親が扶養親族申告書と確定申告を行っている場合「公的年金控除」を受けることが可能ですよ。
この公的年金控除は年齢や所得額で控除額は異なりますが、所得税の金額を減らすことができる制度です。
父親の年金が180万円の場合は、110万円の控除を受けることができ、所得を70万円として税金の計算をすることができます。
父親の住民税は70万円(所得額)-43万円(基本控除額)-33万円(配偶者控除)=-6万円とマイナスになり非課税の対象となりますね。
ここで注目してほしい項目は「配偶者控除」で、これがない場合は住民税の計算で合計金額が27万円となります。
これがプラスの数字になると父親には住民税が課税され支払いの義務が発生するので、母親を扶養から外さない方が節税になりますよ。
年金暮らしの両親にはゆっくり過ごしてほしいと思いますよね。
扶養の問題はしっかりと家族で話し合って決めると家族全員が安心できますよ。
まとめ

- 親を養い扶養控除を受けるにはいくつかの条件がある
- 扶養控除の申請は年末調整か確定申告で行うことができる
- 扶養控除の金額は養われている人の年齢で異なる
- 扶養控除の金額は1月1日から12月31日までの所得で決まる
- 年金暮らしの親を扶養に入れると税金の負担が大きくなる場合がある
親には楽な暮らしを送ってほしいと思い、金銭的な援助をしている方は多いのではないでしょうか。
条件によっては扶養控除の対象になるので、年齢や金額を1度確認してみてくださいね。
現在の親の収入について知り、扶養に入る方がいいのかなどを家族で話し合っておくと安心ですし、今より豊かな生活を送ることができるかもしれませんよ。
親には老後も安心して暮らしてもらいたいですよね。
こちらの本ではどうやってお金を守るかを説明しています。
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