ドラフトとはビジネスの場でどのような意味になるかご存じですか?
ビジネスでは、ドラフトは「下書き」という意味で使われています。
最近は仕事をする上でカタカナ語に出会う場面が増え、不意に出てきた単語の意味が分からないことがあります。
みんなは当たり前のように会話を続けているので、意味を聞くのは恥ずかしいのかもしれないと感じて、そのままになっていませんか?
そこで、今回はドラフトとはビジネスの場でどのように使われているのか、その意味を紹介します。
また、ドラフトとは単に「下書き」というだけではなく、大事な役割があるものもあれば、様々な分野で使われている言葉でもあります。
ドラフトについて理解を深め、仕事に活かせるよう解説します。
「今の単語、どういう意味だったんだ?」と思ったら、忘れないうちにすばやく調べましょう。
ハンドブックなので、会社の引き出しに入れておいても場所を取りません。
言葉のちょっと困ったところをサクッと解決すれば会話が広がります。
ドラフトとはビジネスでどんな意味があるか知ろう

ビジネスの場において「ドラフト」という言葉を聞いても、すぐさま意味を理解できなくて困ったことはありませんか?
「ドラフト」と聞くと、プロ野球の新人選手の指名会議を想像する人は多いと思います。
実は、ビジネスの場で使われる「ドラフト」には「下書き」や「草案」という意味があります。
ビジネスシーンでは「ドラフト」はどのような意味で、どう使われているのか、理解を深めていきましょう。
ビジネス用語のドラフトは下書きという意味がある
ビジネスの場面でのドラフトとは「下書き」のことを意味しています。
これは英語の「draft=下書き」に由来していて、英語圏でもdraftと言えばそのまま下書きという意味で使えます。
ドラフトを日本語に置き換えるとどんな言葉が当てはまるのでしょうか。
- 下書き
- 草案、草稿
- 素案
- 図案、ラフ画
- たたき台 など
「完成形ではなく、修正を前提とした大まかな案」と捉えておくとよさそうですね。
下書きではありますが、そこから内容を詰めていくための大切なものです。
完成させる必要はありませんが、自分の提案したいことや、求められている要点を押さえたものを作成すると仕事がスムーズに進められるでしょう。
ドラフトを作る理由や、メリットについては中盤に書かせていただいています。
ドラフトに類義語がある?使い分けを覚えて役立てよう
ドラフトとは下書きのことだと理解できましたね。しかしこのドラフトに似たビジネス用語があります。
会話の中で不意に登場したときも、焦らなくて済むように見ておきましょう。
- アウトライン
- アジェンダ
最近はこうしたカタカナ英語のビジネス用語が増えました。
その理由はビジネスはグローバル化に向け進んでいるから、というのが大きいようです。
個人的には、漢字で表現してくれた方が意味を理解しやすいのですが、世界に取り残されては仕事もままなりません。
ここは頑張って意味や使い方を確認して知識を吸収しましょう!
<アウトライン>
「大まかな内容」という意味で用いられます。日本語でも、物事の大まかな流れを「アウトライン」と表現することがありますよね。
英語でも、outlineと言えば日本語と同じニュアンスを伝えることができます。
<アジェンダ>
会議で話し合う予定の内容を、出席者全員に資料として配るものです。
こちらは下書きではなく、完成版なので細かい意味としては異なりますが「話し合う内容の草案」とお考えください。
仕事中にドラフトはどう使う?使用例と英文を紹介
ビジネスシーンで、ドラフトとはどのように用いられるのでしょうか。具体例を挙げてみました。

来週までに契約書のドラフトの作成をお願いします
会社によって様式やドラフトに盛り込む必要事項が異なると思います。
指示をくれた人に、どの程度のものを作るのか確認すると、ドラフトの精度を上げることができます。

こちらはドラフト版ですので、ご要望がございましたら変更は可能です
「ドラフト版」とすることで、完成版ではない資料という意味合いを持たせることができます。
ビジネスに英語が求められる場面もありますよね。Draftを使った例文を2つご紹介します。
- I’m sending you a draft for the ○○.
○○のドラフトを送付いたします。 - Thank you for the opinion to draft.
ドラフトにご意見をいただき、ありがとうございます
簡単な英文を知っておくと役立つことがあります。
英語がすんなり出てこないときは翻訳サイトを使うと便利ですが、翻訳した英文をもう一度日本語に直して内容を確認するといいようです。
普段ネイティブと交流している英語の先生から教わった豆知識です。ぜひ試してみてください。
ドラフトの類義語として紹介したアジェンダもこちらの本には載っています。
例文付きなので、その単語に対してもっと理解を深めることができるでしょう。
あなたの心強いビジネスパートナーになってくれる1冊です。
ドラフトとは契約書を作る場面で重要な役割がある

契約書のドラフトが持つ意味は、他の書類の時とは大きく異なります。
そのドラフトを元に、契約内容の詳細を詰めていく場合が多いからです。
契約の際にドラフトを作成するメリットや重要性を解説します。
契約書のドラフトが重要な理由と作成するメリット
契約書のドラフトとは、その役割から重要視されることが多くあります。
では、契約書のドラフトを作るとどんなメリットがあるのでしょうか。
企業間の取引では最初のドラフトを先に提示することで、その契約を自社にとって有利に進めることができるからです。
それに加えドラフトであれば、契約内容の見直しや、新たな提案や要望を加えて、修正していくことも容易です。
契約書のドラフトを作成するメリットや重要視される理由を詳しく見ていきましょう。
- 契約書のドラフト=起案書
- ドラフトのやり取り=契約交渉
単に「下書き」や「たたき台」と言ったニュアンスとは違い「最初の原案」としての意味が多く含まれているようですね。
<契約書のドラフト=起案書>
契約書をドラフトとして作成する前には、既にお互いにその契約内容について大筋で合意があります。
その合意内容をドラフトとして起案し、それを元により細かい内容を話し合い、最終的に契約が成立します。
<ドラフトのやり取り=契約交渉>
契約交渉を進めるうえで、このドラフトが起案書として活躍します。
ドラフトは下書きだから大雑把でいいと考えるのではなく、契約交渉での重要なアイテムとして意識して作成することが大切です。
完成形を用意する必要はありませんが、金額や条件など、契約後トラブルにならないために必要な事項はしっかりと明記し、必ずチェックを受けましょう。
ドラフトの重要性が分かったところで、自社でドラフトを作成するとどんなメリットが得られるかを解説していきます。
- 先に提示することで契約を有利に進められる
- 修正が簡単
- 交渉による変更ができる
契約を有利に、効率よく進めるためにドラフトが有益であることがうかがえます。
<先に提示することで契約を有利に進められる>
契約書にはそれぞれの会社に様式がありますが、その様式には自社にとって不利なことは盛り込まれていません。
自社の様式でドラフトを作成することにより、こちらの都合の良い条件で交渉をスタートすることができます。
それに加え、管理面でも自社の様式で揃っていると検索や保管をする上で便利がいいでしょう。
<修正が簡単>
最初から本物の契約書に書いてしまうと、修正が入った場合は全てを書き直さなければいけませんので、大変です。
ドラフトであれば、間違いに気付いたときに気軽に修正ができますし、印刷すれば必要な修正箇所に赤ペンで書き込むこともできます。
上司に確認を依頼した場合も同様に、その内容を手軽に反映することができるのはドラフトの強みです。
<交渉による変更ができる>
相手方にドラフト版として提出することで、相手からの要望や疑問点などを書き込んでもらうこともでき、やりとりをスムーズに進める上でとても利便性が高いと言えます。
ドラフトを利用することで、お互いに納得できる契約内容をまとめることができそうですね。
ドラフトを作ることのメリットを紹介してきましたが、デメリットがないわけではありません。
ドラフトの質が低いと、相手に交渉の主導権を握られる
交渉の場で先手を打つということは、同時に手の内を先に明かすことでもあります。
経験豊富な担当者が見れば、そのドラフトを作った人がどの程度の実務経験があるかを即座に見抜いてしまいます。
企業によってはわざと先にドラフトを出させるという戦略を取るところもあるくらいです。
実務経験が少ない担当者を付ける場合は、手厚いバックアップが必要ですね。
交渉相手からドラフトを受け取った後の対応3ステップ
自社から最初のドラフトを相手に提示する場合についてみてきました。
では逆に相手から受け取った場合は、どのように対応すればよいのでしょうか?
必要なことは「自社にとって不利な条件はないか」を念入りに確認することです。
スムーズに対応するための3つのステップをご紹介します。
- 内容の確認と審査
- 修正依頼と交渉
- 契約の締結
シンプルですが、大事な3ステップです。具体的な内容を確認していきます。
<内容の確認と審査>
契約書の内容をよく確認します。確認のポイントは大きく3つです。
- 自社にとって不利な条件はないか
- 懸念点はないか
- 法令上必須とされている条項の抜けや漏れはないか
- 取引内容に相違はないか
具体的な取引内容である、金額や製品、期間などは担当部署に確認してもらいましょう。
懸念点はその種類で法務や財務の担当者に意見を聞き、さらに是非を審査します。
確認はひとりで行うのではなく、ダブルチェック、トリプルチェックと慎重に進め、必要であれば専門家に依頼しましょう。
<修正依頼と交渉>
確認と審査の結果、契約書に問題点が合った場合は、相手と交渉します。交渉の手段は様々です。
- Wordファイルのやり取り
- 対面での話し合いによる書き込み修正 など
修正が容易なWordファイルでのドラフトのやり取りが主流になっています。
どの方法で修正があった場合も、双方に修正履歴をきちんと残しておくことでトラブルを防ぐことができます。
<契約の締結>
契約書の内容に問題がないことを確認し、修正内容の反映も完了しました。社内での最終確認を受け、押印し締結完了となります。
電子契約の場合ですと、署名権限のある人に回覧メールを回して署名をもらったのち、締結となります。
ドラフトの修正を効率化するならWordがおすすめ
ドラフトとは修正が入ることが前提の書類です。契約書であれば、契約者と自社との間で何度もやり取りをすることもあるでしょう。
たくさんの修正や変更を、どう管理していくのがいいのでしょうか。
Wordの変更履歴やコメント機能を活用すると、効率よく修正を進めることができます。
修正作業に使えるWordの便利な機能を2つご紹介します。
- 変更履歴
- コメント
いろいろな人が関わると、修正や変更の管理が難しくなります。ツールを使って効率アップを狙いましょう。
<変更履歴>
Wordで変更履歴を残すためには「変更履歴の記録」をオンにしておく必要があります。
- 「校閲」タブをクリックする
- 「変更履歴の記録」をクリックし、オンにする
設定しておくことで、変更された部分の色が変わり、確認しやすくなります。
それだけではなく、修正記録を蓄積しておくことで自社のノウハウになり、次回の取引でも参考にできます。
契約の場ではありませんが、学校の役員活動などでも変更履歴は非常にありがたい情報です。
会社と違って密な引き継ぎがあるわけではありません。
前任者がどうして変更したかが分かると、うっかり元に戻してしまうことがなく助かります。
<コメント>
Wordには、指定した部分にコメントを付ける機能があります。
- コメントを入れたい部分にカーソルを置くかドラッグして反転させる
- 右クリックのメニューから「新しいコメント」をクリックする
- 表示されたコメント欄に入力する
このコメントには返信を書くこともでき、そこに対応した結果などを記入しておくことで、修正の経緯を記録することができます。
また、担当者に変更があった場合でもドラフトがどのように修正されてきたか、ひと目で分かるので非常に役立ちます。
私も文章を書く際に、この機能をよく使っています。再考が必要な場所にマークをして、再考したい理由などを残しておきます。
作業の続きをスムーズに始めることができるだけでなく、忘れ防止にも役立っていますよ。
ドラフトが修正不可のファイルだったときの対処法
契約書のドラフトをやり取りする方法として、Wordファイルを用いることが主流になっているようですね。
先述の通り、修正の履歴を残しやすく、コメントも入れやすいので重宝します。
しかし、pdfファイルなどの修正できない形式のドラフトが送られて来た場合は、どのように対処したらいいのでしょうか。
- 相手方に修正対応可能なファイル(Wordなど)で再送付してもらえるか交渉する
- pdfのコメント機能を使って修正の提案をし、相手に修正してもらう
- 別途、修正の要望を書いたファイルを作成し、相手に送付する
契約交渉の形は様々ですので、双方でやり方が違うことは仕方がないとして、できる方法でスマートに対応しましょう。
<相手方に修正対応可能なファイル(Wordなど)で再送付してもらえるか交渉する>
率直に相手にお願いする方法です。こちらとしては修正可能なファイルでもらえる方とやり取りがスムーズになる旨を伝えます。
修正可能なファイルで出せないと言われれば、次の方法に移ればいいでしょう。
<pdfのコメント機能を使って修正の提案をし、相手に修正してもらう>
pdfにもコメント機能があります。そのコメント機能を使って、修正の提案をします。
直接直すことはできませんが、相手の様式ですので先方に修正を依頼したほうが、効率がいいこともあります。
<別途、修正の要望を書いたWordを作成し、相手に送付する>
修正してほしい個所をまとめたWord文書を作成し、そこに修正箇所や理由を記載します。
修正内容に合意が得られれば、前述同様に、相手に修正してもらうことができます。
ドラフトが修正できないファイルが来るのはなぜ?
修正ができないpdfファイルでドラフトを送ってくる企業は大企業に多い傾向があります。
年間で何千何百と契約書を交わす大企業では、契約書を定型化していることはよくあります。
編集可能なファイルでやり取りをしていて、契約内容だけでなく約定など、修正する予定のないものまで触られてしまうと、対応が追いつかないという悩みがあるようです。
しかし大企業にとっては「定型の契約」でも、大多数の企業担当者にとっては「特別な契約」であることが大いに考えられます。
この差異が、やり取りするファイルという小さなものに反映されているのかもしれません。
どうして修正できないpdfファイルが送られて来るのか、理由が分かればイライラすることなく対応できますね。
内容をしっかりと確認できていれば問題はありません。修正は先方にお任せしましょう。
ドラフトとはどんな意味?ルーツを知って使いこなそう

ドラフトとは英語のDraftから来ているとお伝えしました。ビジネス用語でのドラフトとは「下書き」という意味で使われています。
実は、本来のDraftにはこれ以外にも様々な意味があります。英語とカタカナ語の意味を比べてみましょう。
ドラフトは英語とカタカナ語で違いがあるか比べよう
まずは英語の「Draft」とカタカナ語の「ドラフト」では、どのような意味があるかを確かめましょう。
- 下書き、草案、原稿(文章の場合)
- 下絵、見取り図、設計図(図画、建築の場合)
- すき間風(部屋などの冷たい)
- 通風、通気(煙突など)
- 通気調整バルブ(煙突など)
- 為替手当
- 召集令(アメリカ英語)
- 選ぶ、分ける(家畜など)
ドラフトには予想よりたくさんの意味があり、驚きますね。では、カタカナ語ではどうでしょうか。
- 下書き、草案、原稿
- 製図、下図、下絵
- 空気の流れ、通風、排気
カタカナ語のドラフトも、英語とほぼ同じ意味と考えてよさそうですが、カタカナ語では「召集令」や「為替手当」という意味では使わないようです。
カタカナ語のドラフトとは「下書き」という意味だけではなく「空気の流れ」という意味もあります。
空気の流れを扱う、空調や建築の分野や、排気をよくして行う化学実験の分野でもよく使われる言葉です。
まとめ

- ドラフトとはビジネスの場では「下書き」という意味で使われている
- ドラフトの類義語には「アウトライン」や「アジェンダ」がある
- 契約書でのドラフトは「起案書」として使われるので重要度が高い
- 契約書のドラフトを修正する際はWordを用いると便利で効率が良い
- ビジネスの用語としてのドラフトとは、英語のDraftに由来している
- 英語でもカタカナ語でも、ドラフトの意味に大きな差はない
ドラフトとは「下書き」だけでなく様々な意味を持つことが分かりました。
ビジネスでのカタカナ語は聞きなじみがなくて身構えてしまうこともあるでしょう。
そんなときは仕事の合間に軽く調べて、ちょっとした雑学を増やすというのもおもしろいかもしれませんね。
難しいと感じてしまうのはカタカナ語に限ったことではありません。
CEO、COOといった役職まで英語になってしまいましたが、一体どれが一番偉い人なのでしょうか?
この本では横文字役職相関図も紹介されています。知らなくて恥をかいたということが起こらないように、確認しておきたいですよね。